きくこ

2019年2月19日 (火)

光景、そのⅠ

この頃、若い旅行者たちの「借り和服姿」が、

いやみなく似合っていると思えてならない。

始めの頃は、着付け下手が気になって仕方なかったのに

そうではなくなったのはどうしたことなのか・・・

 

神社の多い京都のことである。道沿いの小さな神社でも、

参道の入り口には神域を示すに鳥居がある。

名だたる神社の大きな鳥居は別として、小さな「木の鳥居」や

「石の鳥居」に和服姿が出入りするその光景に愛着を感じるのは

歳を経た所為なのかDNAが騒ぐのがわかる。

 

そこに女性の華やかな「借り和服姿」が出入りするのを見れば、

我々は郷愁にかられてしまう。

 

すきっと着ていなくても良い。

懐かしい時代が吐息するようで嬉しく感じてしまう。

 

ぶかぶかの足袋も草履も何やらゆかし、なのである。

 

 

2018年10月10日 (水)

やっぱり引き算

 青蓮院門跡の前で人を待っています。

10月の午後です。
勿論あの大楠を仰いでいます。

ゴーンと鳴りわたる鐘の音、曇り空・・・。


今日は夏日です、の予報通り蒸し暑い。

待ち人は来ず、出入りする人の和服姿を

追いかけています。

 
今日はここで、「未生流」の花展がある。

いけばなは、むだな枝葉を極限までそぎ落として、

より豊かな空間をつくる。引き算の美であるとある。

 

そうですか、それなら心得ています。

それにしても大楠よ,少しその葉を落とさないか。



 おいしそうに食べるそこがポイント    きくこ

 

 

2018年2月 4日 (日)

句集

 

30年2月

 

句 集

 

 2月になって今日は節分。
昼間のテレビで壬生狂言を
見たからか、日が暮れると
壬生寺の賑わいが恋しくなる。

古いものを古いままに、が、壬生狂言の良さだ。

 桐子さんの句集 hibi。


一句一句の空間が好きで、つい
読み返している。
個性が行き渡っていて眩しい。
ひろい海の波間のような句集だ。
読むものはただ漂っていれば良い。

 

  おとうとはとうとう夜の大きさに

  片陰のすっとからだに戻る影

  えんぴつを離す 舟がきましたね

 

作品たちの実感にハッとさせられるとき、光る刃先。
魔性的な桐子スマイルに嵌ってしまう。
素敵な人だとさらに思われた。 

 

      暇つぶしの場所にすわっている烏     きくこ

 

 

 

2017年12月18日 (月)

宿題連作

 普通に川柳を書きながら(これは連作やなぁ)と

思えるときがある。どこかで心が連なっていると感じる

時があるからだろう。

なのに、なのに、この度の宿題「連作」は出来なかった。

時間をいっぱい掛けたのに出来なかった。難しくて

ならないと思った。

おしまいには何だか分からなくなってしまった。

これは(つづきの会)の所為である。とわたしの判断!

一句づつに心を込めて川柳する。

一句勝負が数句勝負にいかなかったと解釈した。

 定金冬二さんの連作

 蘇生伝説     定金 冬二  

 

枯野から生まれ 男の名をもらう

枯野生まれ 海が見たくてないふを研ぐ

 枯野うまれのしにかるなぽけっとよ

 枯野生まれ ときに瞼の棘を抜く

 枯野生まれに氾濫をするカタカナ語

 枯野生まれに電話ボックス花ざかり

 枯野生まれ 玩具の汽車が離せない

 

こう言う書きかたもあるんや とつくづくながめる。

私ごとながら、長いこと伏せっていた妹が急に逝き、

毎日出歩いていた妹が市バス中で卒中 入院。


 クワックワックワッ叔母へくる烏    きくこ

まったく~~と思ってる。

 

2017年10月26日 (木)

猫はパン

  ウチには猫がいる。“パン”と呼ばれている。
 「ただいまぁ」の代わりに「パ~~ン」と呼ぶと

のろっ~ と出てくる。

一緒に暮らす猫である。

 

ダンボールの空き箱が好きで、気がつけば身を丸めて

その中に居る。小さいめの箱の方が良いらしい。

丸まる具合でストレス発散?かな・・・

 

太っちょでのろいし大抵眠っている。

捩ってもよじっても箱に入りきれない。暫くして見ると、

片手だけその中に預けるようにして、箱の外で眠っていた。

思わずふきだしてしまったりする。

 

毛の色はキジトラ、施設に預けられて数カ月、迎えに来ない

家族に放っとかれた猫。

 

 

 

  笑う笑うパンちゃん アンフォルメ     きくこ

 

 

 

2017年7月28日 (金)

ところゆきら さん

 

 少しこごめた背でお池通りを渡ってくる人は“所ゆきら”さんだった。

 横断歩道を歩かずにそのまま道を越えてくる人だった、と思い出す。

 自由な人だから川柳作品も伸び伸びしていた。

 数か月前に柊馬リーダーがテクストとして配られた一枚は、
 昭和32年に
発表された所ゆきらさんの胸のすくような連作である。

 

    石 庭       所 ゆきら

  それは坊主まるもうけと噂の石のある庭

 

  と一行目にあり、どこの石庭なのか一目了然。
 意識しながら読み進められる気軽さは、
横断歩道を渡らない人に通じる。
 後の方で、

 あくびすれば石もねころんでいる

 じっと見ていると石あちら向き

 あごに手をやれば 石ふんと言う

 帰りかけると ふりむけという石

        ×

 あげくのはてに 

     きざな石だと言ってやる

 はてさて 何でもなかったと言い切れず

  と、言いしめて終わる。
 胸をすかせてくれる昭和作家に改めて振りむいている蒸し暑い夏のいち日。

 

   定年はそのまま過ぎるゆゆゆゆ      きくこ

 

 

 

    

 

2017年4月 3日 (月)

「第65回蟹の目現代川柳大会」

 

 年に一回の大会ですから、65年も続いて来たことになる。

地方誌かもしれないが、そんな昔から続いて来たことに私は敬意を
表さずにはいられない。
老人パワーは免れないながらも、

 

疑り深い棚何を乗せても落ちる    純 子

 

こんな作品を秀句とするあたり、誰かが移りゆく川柳の流れを意識

していると思われる。

 

と、3日前に道路で転倒してしまって膝を打って、動くことが困難に
なった自分の右足を庇いながら、
蟹の目川柳社の主幹の足は「左足なのですね」と互いに庇い合っての
長いお付き合いを思う。

 

つづきの会は、リーダー不在でも変わらないその場の空気、先月のように
急に現れても平然としているリーダーの力。

涙というよりも様子が可笑しくて、とてつもなく笑ってしまって・・・
川柳やと思わせられた。

 

その上のその上のその上の 語尾    きくこ

 

いろいろあって、つづく・・・・のですね。

 

2017年2月11日 (土)

闘病中

29年1月

 

 

 僅かな呟きだったとしても、リーダーのたくましい

声を聞く。久しぶり!・・・ 

 

以来 つづく雪情報に我らは、シャンとしたろうか

今朝までは塀にしがみ付いていた雪が、無くなって

この春陽・・・・・。強烈やな

 

2月例会の投句をひかえて、冷静なときである。

「わかったかい」と横眼してくる。リーダーの手。

 

なので、2幕目に射し込んでくる厚かましさを探す、

図々しい言葉や、ことが、どこかで暗躍してるはず。

 

  雪がくる タクシーが居ない    きくこ

 

2016年11月12日 (土)

ジェットフォイル

 

ジェットフォイル

 

「が」に反応がありますね。

私も「壱岐研修会」に参加していました。

懇親会で自己紹介のとき、何方かが「平田のぼる先生の

 

  海の声

 君に聞こえる 

 筈がない   

  のぼる 

 

この作品に感動して川柳をはじめました」と仰った。

わたしは「(が)がありますよ」と席で遠慮しながら

呟いていたら、前の席で壱岐の藤本建人さんが

「(が)を言えよ」とで呟かれていた。

 

この作品の句碑があった。「が」は深く彫られていた。

閑かな心が伝わってきて、壱岐の句やな と思った。

 

帰路の、郷の浦から博多港までのジェットフォイルが、

天候悪化のため欠航となった。

海の飛行機は案外脆いと知った。

普通のフェリーが揺れに揺れたこと以外、

壱岐国の旅は、豊かなものでした。

 

 

夕方はこの辺だからつるつる    きくこ

 

 

きくこ

 

 

2016年10月 9日 (日)

たった2分

阪急桂駅のむき出しのホームに立つと台風の余波だろうか、時々の
 
強風が心地よい。台風一過の空。

特急待ちしている電車の座席はめずらしく長椅子の車両が繋がっていて
 
午後の陽ざしは一列に延びていた。
 
座席は適当に埋まっていて立っている人はなかった。

特急車が出て、追いかけるように動き出すと普通車らしいスピードに乗ってくる。
 
と、キュ・・ル・キュル・・ル・ル・ル・・・とブレーキの音が聞こえて、
 
速度が落ちはじめ座っている者たちがオヤ?と思ったとき電車は止まった。
 
座っている皆は揃って前方を向く。
 
これは心理なのだろう一斉に、鶏がくっくっと首を振ったようだった。


「すぐ前の踏み切りに運転手が人を見つけ、危うく撥ねるところでした、

 
確認のため電車が2分遅れましたことをお詫びします」とアナウンスがあった。


長いようで短いこの2分間、人々の脳裏に何が廻ったろう。

 
何を思い出したことだろう。
 
命さえと思いが過ぎるものである。
 
私は世のなかはオモシロイものよと、波打つような心になっていた。

 
 

 
悪いめの友達がいる缶コーヒー    きくこ

 

 

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