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2019年12月

2019年12月30日 (月)

進化する笑い

今年さいごの句会から帰宅すると、ちょうど漫才グランプリ「M1」が始まるところだった。
よく知らないコンビも多くて、あまり期待していなかったのだが、笑った、笑った。
笑いながら、今年の笑いは何か違うぞ…と思っていたら、ツッコミが違う。
これまでのツッコミは、「なんでやねん」式に相手を強く否定、あるいは罵倒、はたまたどついて笑いをとったが、今年のツッコミは、相手を全肯定する、どこまでも寄り添うといったスタイルが見られた。
笑わせ方も、相手の容姿やジェンダーいじりが減って、人を傷つけない笑いへシフトしつつある。

川柳のお家芸とも言える「笑い」。ここにもまだまだ可能性はありそうだ。



  で、としか言ってくれない京都タワー  桐子

 

2019年12月25日 (水)

尼御前

冬の初め、和久傳が植林した久美浜町の森に出かけた。

山は静かに落葉の景色。

狭い村道を曲がると塀の破れから荒れ庭が見えた。

褐色の雑草が広がる中、向日葵が一本。

頭を垂れるでもなく花も葉っぱも黒く乾ききっている。

 

 立ち枯れて黒いヒマワリ尼御前   くにこ

 

2019年12月13日 (金)

「座る祥文 立つ祥文」

筒井祥文さんの遺句集が、近しい方々の手で編まれた。
祥文さんらしい、シンプルな装幀。表紙には、句会で見かけた考える祥文さんの似顔絵。裏表紙には、おむすびみたいな祥文さんの背中が、いかにもシャイな祥文さんらしい。すみずみにまで、大勢の人のこころが込もった句集だと思う。

(川柳や…)と思いながら三度読み返し、読むたびに付箋が増えた。さりげなさが、極めた芸のようでもある。

 

   老人が違う光の中にいる

   ころんと転がる一瓶の夜景

   水垢を水で洗えば佐渡おけさ

   音の出るものを天神さんで買う

   よろこびのびの字を猫が踏んでいる

   光年というヨーヨーの紐の丈

   鳥の声 水は力を抜いている

   あり余る時間が亀を亀にした

   正しいと思うところに鼻をおく

   人としてキリンの下を通ります

   伝説の幅を計れば二寸五分

   仏壇の奥は楽屋になっている

   二周半ちょっとで奈良漬けの角度

   人間を三人埋めて余る土

   何となく疲れて海に腰かける

 

2019年12月10日 (火)

どうも変。

白内障の手術をして1年半経過した。

その後の見え方がどうも変なのだ。

人間違い・値札見間違い・買い物での失態の数々。

 

手術前、

「近くと遠くどちらがよく見えるようにしますか?」と訊かれ、

悩んだ挙句、

マア本もよく読むし、近くは眼鏡なしで見える方がいいと思い

近くが見えるようと頼んだ。

 

近くは本当によく見えるようになったのだが、遠くが以前より

見難くなり、その分、もやもやイライラが募る。

要するに、遠近のグレイゾーンがなくなってしまったのである。

 

今までと見え方が違う違う。全然違う。

慣れなくては、慣れなくてはというしんどい一年だった。

 

 

グレイゾーン最終章へ舵をきる  せつこ

 

 

2019年12月 6日 (金)

むべなるかな


むべの実を初めてみたのは十年ほども前になろうか。

中京の街の真ん中、宿の軒を飾るようにに赤い実が並んでいた。

緑の葉と赤い実のコントラストの美しい眺め。

宿の人に尋ねると「むべ」だと言われた。

 

思いもよらず、身近にその実はあった。

山のフェンスに這う蔓性の生垣の実がむぺだった。

木通(あけび)に似た、卵型の臙脂の実を一個貰った。

聞くところによると、この郁子(むべ)は、不老長寿(不死)の実との 

伝説があり、

その昔、天智天皇は大津の蒲生野で見かけた長寿の老夫婦に、

「なぜそのように元気なのか」とお尋ねになられたそうな。

「ここで採れるこの実を食べているためです」と老人が説明したところ、

「むべなるかな(なるほど、それはもっともなことだ)」と仰せられ、

それ以来、この実は年貢として献上されることとなった。

「むべなるかな」という言葉は、これが語源と言われている。

 

むべの実を割ると、中は殆ど黒い種で、その種の周りを包んでいる

甘いゼリー状のわずかな部分を食するのだが、口の中で種を分ける

作業が至難の業。

でも、不老不死の伝説の実を食べたので、少しは元気になれそうな・・。

 

   とつおいつ丸めてちぎる十二月     真理子

 





 

2019年12月 1日 (日)

冬の朝

風もなく、音もなくとても穏やかな蒼穹。

この文字のイメージそのままの、まん丸な冬空を眺めている。

裏庭に放ったらかしの椿の鉢植え、幾つかに挟まれたその一つが白い花を付けた。

鉢を洗って玄関に、通りすがりの方に褒めてもらおう。

今年は鉢植えのレモンの木に九個も実が成った。

取っておいた小瓶に檸檬を薄く切り、ハンガリー産蜂蜜漬けを楽しもう。


   金魚鉢洗う金魚の他人めく  彰子

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