2020年5月15日 (金)

アクリルのむこう

自粛生活が長引くほどに、ほんとうにしたいことが絞られてきた。
緊急事態宣言が解除されたら、まず行きたいのは図書館、本屋さん。
読みたいだけなら、ネット通販で買えばすむ。
書架の本に囲まれるだけで、気持ちが落ち着く。
背表紙に惹かれ、手にとって、一冊と出会う……。
人付き合いの下手な私なりの、人とのつながり方だったのだと思う。
それから、次はパン屋さん。
徒歩圏内には好みのパン屋さんがなくて、おいしいパンではじまる朝が恋しい。
私にとっての不要不急は、本とパンだった。

川柳?
時間も空間もぽかんとあいて、ことばが遠くなっている。
遠巻きにしたことばから、あたらしい発見があればいいのだけれど……。
透明なさやの中の豆のように、まわりを見つめ直している。

  どちらからともなくうたう雨と豆  桐子

 

2020年5月 4日 (月)

苺。

こんな時代になるとは夢にも思わなかった。

いつもの暮らしをうまく思い出せない。

 

日ごとに濃くなり世界を蝕む影のない影。

顔半分隠すマスクは、自らを社会を守る白い防護壁。

誰とも触れ合わぬよう身を縮め、買い物の列に並ぶ。

そして五月になった。

 

ベランダの鉢植えの苺がふくらんできた。

白い実が赤く色づいてゆく不思議。

ちいさな発見をちいさな喜びとして、静かにこの嵐の

過ぎ去るのを待とう。

 

 

2020年4月23日 (木)

三密を避けて・・

家に籠りっぱなしの毎日。

晩柑の皮でママレードを作った。

熱湯を注いでいただくと甘くほろ苦く中々美味しい。

 

昨日は流しの下の整理をした。大きな擂鉢、山椒の擂り粉木。

私の腕ではとても振り回せぬ中華鍋や、寿司桶が出てきた。

大家族の頃は大いに活躍の場があったであろうに・・・

 

中々整頓に気が乗らぬ小引き出しの小物にも呼ばれている。

トキメクものとそうでないものと区別を・・・

そうはいっても、そう簡単には棄てられませぬ。

暫し、想い出に耽ってしまった。

 

運動不足になり勝ちの昨今、ゆっくり路地を歩く。

よそのお庭の八重桜がぽったりとほほ笑み、花菖蒲も頚をやや傾け

明日辺りは咲こうかという気配。山吹の黄は、例年通りけたたましい。

近くの公園ではハナミズキの白が、襟を正して出迎えてくれる。

 

短い散歩だったが四季の花々の律儀さに頭の下がる思いを抱いた。

 

 

2020年3月 3日 (火)

ことば

昨年から、歌人の牛隆祐さん、詩人の櫻井周太さんと、「フクロウ会議」というユニットで活動している。
昨夏に「蕪のなかの夜に」という本を出し、先月ことばとアートのイベント「アルデバランを踏まないように」を開催をした。
森をイメージした展示。朗読、歌会、トーク、ダンスパフォーマンス(漂流詩)…ことばをたのしんだ4日間だった。

Img_2179
私は、ハーバリウム にヒントを得て、試験管に川柳を浮かべて木に吊り下げた。ことばの木だ。水に浮かんだ文字は、果実のシミやタネのようでもあり、葉脈のようでもあり、気配で何かを伝えていた。すれば、葉脈も、タネも、果実も、読めるのではないか?

 

 

 

 

コロナウィルスの感染拡大で、なるべく家でおとなしくしているように言われている。句会も中止だ。今日は、家のなかのものを読んでみよう。そういえば、昨日おじいちゃんがくれた人参。…なにやらもの言いたげである。Img_2187

 

 

2020年2月16日 (日)

馬酔木

梅はもう咲いたかしらん、と植物園に出かけた。

かすかに梅の香はするも、まだ木も白い蕾も固く身構えている。

むしろ紅梅の花が満開に咲き、愛嬌をこぼしていた。

馬酔木のベル型のつぼみは、いつもより早く半開きの口。

昔、馬酔木の句を作ったな、と古い記憶を手繰ってみる。

 

     馬酔木びっしりうすら笑いに充ちている 

 

毒性の植物ということで、不穏なものを感じたのかもしれないが、

同じ吟行の時に作ったほかの句

 

      この先もつぼみは口を割りません     

      ありえへん言葉ぽっつり梅の花      真理子

 

きっと斜に構えていたのだろう。

 

 

2020年2月 6日 (木)

蕗の薹

窓の外は白いものがチラホラ…
今冬初めて手先に息を吹きかけた。
電気毛布を出して洗うことに、遅いんじゃないか!でも洗う。
台所へ立った、我が家はいわゆる鰻の寝床、とにかく寒いさむい。
しかし、動き出したら止まらない。性格だなぁ、

友人から貰った瑞々しい菠薐草、菜の花、蕗の薹みな鮮やかな若緑。
冷たさを忘れる。
茹でて3通りの味付けを、ついでに半熟卵の燻製も。
もう一働き、と金魚鉢も洗う。   ふぅ……。

やっと朝食。
録画してあった鬼束ちひろのライブを観る。
うまい歌い手である。

  

  蕗の薹ひとつ風船割って来る   彰子

 

2020年1月20日 (月)

亀鳴く

明日21日は「つづきの会」の1月例会。

9人の提出句45句から選をしている。

その中に「亀鳴いて……」という句があったので

ネットで見ると「本当はカメは鳴かない。春の季語」とあった。

「ああ、そうですか」と画面をスクロールすると、「おやおや」。

  亀鳴くと鳴かぬ亀来て取り囲む    渡辺隆夫

そうか、彼は俳人でもあったなと思いつつ、ここで会うとは。

「こいつあ春から縁起がいいわい!」と思った次第(関係ないか)。

 

みなさん、今年もよろしくお願いします。    ひでお

2020年1月15日 (水)

梅干しのお粥さん

昨日は顎が悲鳴を上げるのではないかと思うほど、1時から3時まで

30年来の友人とホテルランチを楽しんだ。

いつものコースに奉書包みを追加、ビールもいつもより大きめのグラス…。

 

なので、勿論夕食は何気に抜いた。

床に入る時には朝食はお粥さんか、もしくは絶食、枕に言い聞かせる。 

 

翌朝、5時半、目覚まし時計と爽快に起床、ちっともお腹は重くない。

まずは散歩である。

片道30分、隣の方のお顔もぼんやりの境内でラジオ体操、その後、本殿、

干支とお参り、境内の御神木にもハグを無理やりさせていただきます。

帰宅は7時半。

 

先ず主人の朝食を作る。さて、私の分は…

ちょっと怯んだが。

目玉焼き、胸肉の燻製、リンゴ、バナナ、ベビーリーフ、トースト、牛乳、

トマトジュース、コーヒー。

気がつけば平らげていた。

 

 

2020年1月 8日 (水)

せりなずな

このところ、とんと食欲が湧かない。

どの食材にも心が動かずスーパーをうろうろする。

 

野菜売り場の「春の七草」に目が留まった。

「せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずな

すずしろ春の七草」と、口ずさみつつ買った。

 

笊にあげ、どれがどの若菜か検討してみる。

すずなは蕪、すずしろは大根、芹までは分かった。

はこべらはハコベのことだから、多分これだろう。

なずなは別名ペンペン草だから、この草かな。

と、すれば残ったふたつがごぎょうと仏の座。

検索してみると御形(ごぎょう)は母子草とあった。

馴染みのある母子草ならどうにかわかる。

仏の座の花は知っているが、若菜を知らずにいた。

 

さっと茹で細かく刻み、おかゆに入れる。

七草粥は、お腹にも目にもやさしい緑いろ。

春の息吹を分けて貰い、すこうし元気になれたかな。

 

  本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

2020年1月 3日 (金)

奈良薬師寺東塔

新年おめでとうございます。

平成21年から修復工事が続いていた奈良薬師寺東塔の

修復工事が完成。

10年ぶりに素屋根(白い囲い)が取れ塔の全容が姿を現した。

この塔は今から1300年前に建立され「凍れる音楽」と称えられる

美しい塔が見れると初詣を兼ね今日訪ねてみた。

穏やかな新年を願うたくさんの人が参拝されていた。

どうぞいい年でありますように。

 

  前向いて令和2年の舟を出す   せつこ 

 

 

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